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インドの首都の旧市街にあるスパイスマーケット。唐辛子やコショウなどが所狭しと並べられていた=2024年10月24日、石原孝撮影

 インドの首都の旧市街にある「スパイスマーケット」では、ありとあらゆる香辛料がそろう。中には、唐辛子だけで7種類もそろえている店も。

 「最高の唐辛子はどれ?」。店主に尋ね、一つもらって口に放り込んだ。瞬く間に口全体に広がる強烈な刺激。それも、なかなかひかない。

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 近くのラッシー屋に駆け込み、ヒンディー語で「ラッシーを一つ」と注文する。ヨーグルトのようにどろっとして、今度はとてつもない甘さ。でも、うまい。

 スパイスが利いた食事をとるからだろうか、インド人は極甘のスイーツにも目がない。砂糖たっぷりのチャイはもちろん、ドーナツに似たお菓子をシロップに漬けた「グラブジャムン」やお祝い事に出される揚げ菓子の「ジャレビ」など。甘さが口の中を癒やしてくれる。

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たっぷりのシロップに漬けられていたグラブジャムン。インドの代表的なお菓子として知られる。右奥にあるのはジャレビ=2024年11月23日、首都ニューデリー、石原孝撮影

 一方で、最近は、中間層や富裕層を中心に低カロリーや砂糖が少なめの健康志向の商品も店頭に並んでいる。その波に乗ろうと、奮闘する日本企業もある。

 「ヤクルト? なんだそれは」

 ヤクルト本社のインド子会社で社長を務める天野英治さん(58)は2006年、ニューデリーに初めて赴任した頃のインド人の反応を今も鮮明に覚えている。

 世界一をうかがう人口大国への進出に、社内の期待は高かった。日本人におなじみのパッケージを現地の人に渡して飲んでもらうと、「おいしい」と感想が返ってきた。

 味は受け入れてもらえそうだ。でも、インドでの知名度はゼロに近い。都市部で市場調査を重ね、健康に気を使う富裕層や中間層をターゲットに据えた。

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